村上春樹さんの著書を読むのは、これが初めてでした。

主人公は『僕』。名前はありません。
『僕』の自己喪失と、現実の流動、夢やそれに等しい世界のリンクが描かれている作品です。

今まで見た本とも違う。同じ部類の本が私が思いつく中では見当たらないので、非常に感想が困ってしまいます。
どことなく哲学の匂いも感じさせます。
自己の喪失から自己の発見。
自分の存在を現実の世界に、いかに結び付けていくか。
同級生でありスターの五反田君、娼婦のメイ、没頭すると自分の娘の存在さえ忘れてしまうアメ、その娘のユキ、片腕の詩人のディック・ノース。一癖も二癖もある人物達と出会い、そしてダンスステップを踏み続けていく『僕』のお話。

ラストはあまりにあっさりし過ぎていて、正直拍子抜けでした。
ただ、明確な答えなどは月並みですが読者側で補完するしかないのかも知れません。

今ここにある現実が、本当に『自分の為の現実』だと認識するには何が必要なのでしょうか?
そういった問い掛けの答えを求めるべく、『僕』が奇妙な人物達と出会い、そして別れて行く。
これがこの本に対して、私の言葉で表現する事の出来る限界です。

『蝶になった夢を、僕が見ているのか』
『僕になった夢を、蝶が見ているのか』
昔どこかで聞いたフレーズが浮かんできました。

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